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■11.6. 鈴木花蓑(はなみの)忌 明治14年生れ、昭和17年没、享年61歳。 一見、なんとなく女っぽい俳号だが、男性である。 「写生の鬼」なんていう異名があるが、 虚子が主観写生から客観写生に転換した時期、 その客観写生に、「社会・人事」を含める以前の時期に、 自然物・自然事象の写生に徹底しようとしてがんばった結果の異名といえよう。 俳句は20歳ごろからはじめたようだが、34歳のとき、 三河の裁判所の職を辞して上京、ホトトギスに参加したという。 ホトトギスの巻頭を飾ること、8回。 そのはじめての巻頭作品(大正10年12月号) 夕焼す縁側へ月の供へ物 花蓑 木蔭より耳門入る月の寺 風の樹々月振り落し振り落し 蟋蟀(こほろぎ)や月の廚戸隙だらけ 相次ぐ父親や子供の死、そして自身の病のため 昭和17年2月帰郷して、地元で俳句指導にあたるが、 11月6日に逝去。 雨上る地明りさして秋の暮 花蓑 大いなる春日の翼垂れてあり 春雨の上り際なる水輪かな もつれつゝとけつゝ春の雨の糸 面白し雨のごとくなる羽子の音 風過ぎて鳴き止むもありきりぎりす 流し雛堰(せき)落つるとき立ちにけり 蒼白く夕かげりたる辛夷(こぶし)かな 白魚の漁火となん雪の中 餅花の賑やかに垂れ静もれる 翅立てゝ鴎の乗りし春の浪 団栗(どんぐり)の葎に落ちてくぐる音 紫陽花の浅黄のまゝの月夜かな 石よりも静かなりけり石蕗の花 手洗ふて笹の秋日に振りかけし 蓮の風立ちて炎天醒めて来し 朝顔や静かに霧の當る音 雪の嶺の霞に消えて光りけり ふるさとに墓あるばかり盆の月 武蔵野の森より森へ春の虹 鰯雲昼のままなる月夜かな 夕焼の橋に遊んで蛍待つ 雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ 引いてゆく長きひゞきや五月浪 鳳仙花夕日に花の燃え落ちし 風車まわり消えたる五色かな 湯ざめして或夜の妻の美しく 晴天やコスモスの影撒きちらし かすかにも顔明かりあり五月闇 芍薬や蕊の心まで真紅にて 夕焼や生きてある身のさびしさを 蹴ちらしてまばゆき銀杏落葉かな (虚子の花蓑への追悼句) 天地の間にほろと時雨かな 虚子 ■11.6. 石川桂郎(けいろう)忌 明治42年東京生れ、昭和50年没。 家業の理髪店を継ぐが、昭和12年石田波郷の「鶴」創刊に参加。 戦後は、「俳句研究」「俳句」の編集長などを歴任。 ひとをひっかけて喜ぶ「虚言癖」あって 俳壇の奇人といい、傑物ともいう。 昭和31年刊の句集「含羞」から 二十句ほど引く──、 激雷に剃りて女の頸(えり)つめたし 桂郎 花の雨みごもりし人の眉剃(つく)る 理髪師に夜寒の椅子が空いてゐる 堕ちし蛾のあをあを明くる看護かな かなかなに履く足袋ほそき思ひかな 春愁や襁褓(むつき)の嵩をうべなひつ 蝸牛の四五寸妻に歌ありて 凩やまた空耳の母を前 栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ 独り刈る髪切りこぼす野分中 あまり寒く笑へば妻もわらふなり 鳴きおこる蛙忽ち腹へりぬ 入学の吾子の頭青く後前(あとさき)す 針供養女の齢くるぶしに 芹蓬摘めよと与ふ子に刃物 昼蛙どの畦のどこ曲らうか つまらなく夫婦の膝の柿二つ 太宰忌の蛍行きちがひ行きちがひ 箱溜める少女期をいま草の花 病む秋や衾(ふすま)の裾に妻の重み 昭和31年、第1回俳人協会賞授賞。 昭和39年、「風土」創刊、主宰する。 以下、略。 ■11.7. 立冬 たらたらとオンラインで書いているうちに、 23時を回り、はや、7日になってしまった。 雑然と冬となりたる一間かな みどり女 LARA ... |
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